株と資格試験の関係性はネオ

中小企業診断士受験4年目。深くない知識で株を分析するネオな感じのブログ。

平成25年事例Ⅰ

とにかく2次試験は戦略策定の思考パターン(その戦略に必要なカネヒトものをSWOTと掛けあわせて間違わずに計画を建てる)が確立出来ていたら受かる。

なので、どこで失敗したか思考を追っていく。

まず、試験会場で緊張のピークで事例Ⅰのスタートである。

最初に問題文(本文)の上に「症状→状態→結果・問題⇔改善策」と走り書きした。

これは、問題文に書いてあるのは、先輩診断士が依頼先の企業に言って調査してきた結果である。だから、症状が出ていることが書いてあってその状態を読み取り、結果どうなていって問題点はどこかを明確に特定して改善策をぶつける。何もなしじゃ未熟な診断士にこの仕事は難しいので設問で先輩診断士がヒントをくれている。この解釈を読んでいる最中に忘れないために記入した。15秒。

そして本文の段落ごとに線を引いて段落にアルファベット小文字のa~hの段落番号をふった。

その後、先に先輩診断士のヒントである設問を見る。

とにかく設問ごとに解いてはいけない。全問で一つのレポートである(このことは事例Ⅳの計算にも当てはまることが今年度証明された。1問目だけでは解けない問題だった。そして1問目だけ見て解いて見事にはまった。)。

まず、戦略の枠組みを理解することに務める。

事例Ⅰなので戦略を実行するための組織を作り上げることが目的である。

このことを頭に入れて設問を読む。

第1問 A社は、ここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ。

 (1)A社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客のを開拓していくこと以外に、どのような点に留意して事業を組み立てていくことが必要であるか。80字以内で答えよ。

 (2)A社は、急速な事業拡大にもかかわらず、正社員数を大幅に増員せず成長を実現してきた。今後もそうした体制を維持していく上で、どのような点に留意していくべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

B4白紙に「急↑」とメモを取る。何事も急激な変化が起きると事業に歪が出てくるものである。第1問なので環境分析だろう。35点。

(1)80字。「これまで」のSWOTで「長期的」な留意点となることは、Wの克服、Tの回避。それで組織人事のこと。これを経営理念にあった経営方針で考える必要がある。とりあえず、「教育訓練・技術ノウハウの継承」あたりがポイントかとメモる。

書き出し「留意点は、」

(2)100字。「正社員」増やさない=アルバイト・パートの活用。そのための施策を取っていくことが留意点かとメモる。

第2問(1)より修正:施策ではない、戦略レベルで答えればいい。つまり、「体制を維持していく」ための戦略・・①正社員のリーダーとしての教育、育成。②非正規社員の活用。と書けば良さそうだ。

書き出し「留意点は、」

第2問 A社の従業員の大半を占める非正規社員の管理について、以下の設問に答えよ。

 (1)A社は、同業他社と比べて時給が多少高くても、勤務経験がある中高年層の主婦をオペレーターとして採用している。それには、どのような理由が考えられるか。80字以内で答えよ。

 (2)A社のオペレーターの離職率は、同業他社と比べて低水準を保っている。今後、その水準を維持していくために、賃金制度以外に、どのような具体的施策を講じるべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

非正規社員について」とメモる。35点。第1問、第2問で70点。これは「非正規社員の活用」がこの戦略レポートのテーマだろうと思う。

(1)80字。「①勤務経験がある」と「②中高年層の主婦」について理由を書くのだろう。

書き出し「理由は、①②」

(2)100字。「非正規社員のオペレーターがやめないための具体的施策」:賃金以外なので、勤務時間や表彰制度、提案制度、正社員登用制度などモチベーションのこと。あ、第1問(2)の正社員を増やさないで事業を拡大する留意点とかぶってはいけない。となると、第1問(2)は施策ではなく、戦略のレベルを聞いていることになる。ここで第1問(1)で施策、つまり戦術レベルの解答を求めていないことに気づく。

第3問 A社では、最近になって大学新卒の正規社員を採用し始めた。従来、中途採用を行わなかった同社が新卒正規社員を採用するようになった理由として、どのようなことが考えられるか、80字以内で答えよ。

15点。中途(即戦力)はダメで新卒に求めるもの。新しい風。ゼロから育てる。幹部候補。か?

書き出し「理由は、」

第4問 A社では、ICTの専門業者に委託して構築した顧客データーベースを活用している。しかし、そこで得られた情報は、必ずしも新商品開発に直接結びついていない。そうした状況が生じる理由について、80字以内で答えよ。

15点。データベースを新商品開発に活かすためには、①得ている情報が役に立たない、②利用者がデータ活用のスキルがないか。

書き出し「理由は、」

以上が設問で、正社員+新卒の育成、非正規社員の活用がテーマ。第4問から新商品の開発が重要な課題なのだろうと思える。

つまり、新商品開発ができていないことが課題→データベースを活用できるようにする。そのデータの収集先はオペレーターである非正規社員なのでその活用が必要。データベースを活用して開発できる正社員が必要ということになる。

以上を踏まえて、与件文を読む(現場レポート)。

 資本金1,000万円、売上高約70億円、従業員数135名(正規社員26名、非正規社員109名)のA社は、サプリメントなどの健康食品の通信販売業者である。

7000百万円÷135名≒5180万円/年。432万円/月。14万円/日。商品1点3千円として、46件の電話注文を受ける。問い合わせなどもあるので電話成約率50%として92件の電話を受けることになる。1日何時間の営業なのか。非正規のオペレーターの勤務体制も気になる。

 近年、中高年層を中心に美容や健康の維持・増進への関心が高まっている。なかでもコラーゲンやヒアルロン酸に代表されるアンチエイジング向けや、グルコサミンやカルシウムなどの骨・関節サポート向けのサプリメント市場が拡大傾向にある。大手の製薬メーカー、食品メーカーを筆頭に、規模の大小や業種業態を問わず、多くの企業がこの市場に参入している。

競争は激しい。→差別化が絶対必要である。

 これらサプリメントは、必ずしも、薬局やドラッグストア、コンビニエンスストアなどの店頭だけで販売されているわけではなく、通信販売やeコマースを通じて一般消費者に届けられている。そうして提供されるサプリメントを、研究開発から生産・販売まで自社で手がけている企業は数少ない。業界の大半を占める中小企業は、商品企画を自社で行っているととしても、実際にサプリメントを開発しているわけでも、巨額の設備投資を行って生産しているわけでもない。中小企業が提供するのは、いわゆるOEM(相手先ブランド生産)商品であり、A社の商品も同様である。

A社:商品企画→開発・製造を依頼→商品を販売。がビジネスモデル。参入障壁も低い。

 1990年代の半ばに創業したA社は、初め、近隣県産の特産品の通信販売を営んでいた。A社がサプリメントを扱うようになったのは、現在の主要委託製造先であるX社から販売を依頼されたことがきっかけである。特産品販売の売上が思うように伸びず、いかにして事業を拡大させるかを考えていたA社にとって、サプリメントを少量でも供給するというX社からの提案は、受け入れやすいものであった。というのも、以前からA社社長は、高齢化に伴い、団塊シニアを中心とする中高年層に健康の維持・増進向けのサプリメント市場が成長するかもしれないと考えていたからである。

ターゲット:中高年層。顧客機能:健康サプリメント 独自技術:企画力(社長の先見性)

 今でこそ、本社の近隣に100名近いオペレーターからならうコールセンターを構えるようになったが、サプリメント販売を始めた時は、社長夫妻を含めて社員はわずか10名程度であった。今日同様、そのほとんどは非正規社員であったが、電話やFAXによる注文の受付、商品に関する問い合わせの対応、商品の梱包・発送、宣伝広告様折り込みチラシや荷物に同梱する説明書の作成に至るまで、全員で日々の業務をこなしていた。しかし、X社から供給されたと同様の健康の維持・増進向けのサプリメントに注目していたのはA社だけでなく、知名度が高い大手メーカーをはじめ、多くの企業がこの市場に参入してきたために競争が激しくなって、A社の売上は思うように伸びなかった。

当初10名程度の社員:すべての業務を全員でやっていた。=全員業務全体、受注のこと(顧客情報)、商品のこと、出荷のことなどを把握していた。

 A社の業績が急速に伸長し始めたのは、2000年代半ばに、X社と共同して企画した、骨・関節サポート向けサプリメントへの絞り込みを決断してからである。競合他社に先駆けてこの商品を発売したこともあって、折り込みチラシ中心の宣伝広告で売上が徐々に伸び始めた。売上規模が拡大し少しでも資金に余裕ができるようになると、折り込みチラシ広告だけでなく、テレビCMのスポット広告やネット広告などの様々な宣伝広告を積極的に活用して、市場での認知度を高める施策を講じた。その結果、取り扱い件数が増加すると、ICT専門業者に顧客データベースの構築を外注しただけでなく、それまで自分たちでこなしてきた、商品の梱包、発送などの業務も外注し始めた。ただし、宣伝広告については、広告代理店任せにするのではなく、これまで蓄積してきたノウハウを駆使してA社が主導的に行っている。

①骨・関節サポート向けサプリメントへの絞込を決断したこと、②競合他社に先駆けて発売できたのは、社員が顧客から骨・関節の相談をたくさん受けていて全員が納得して決めたことと直接顧客の情報を掴んでいたためにスピーディーに決断できたから。

顧客データベースの構築、出荷業務を外注。=顧客データーベースのデータ項目に消費者の悩みや苦情などのサイコロジカルな情報が抜けている可能性がある。

広告宣伝ノウハウはA社の強み。

 骨・関節サポート向けサプリメントを発売した当初10億円程度であった売上も、ほぼ前年比130%で伸長してきた。しかし、当時と比べて、A社は正規社員の数を大幅に増やしているわけではない。ここ2年、大学新卒の正規社員を若干名採用するようにもなったが、売上規模を急拡大させた中にあって、毎年2~3名程度の正規社員を中途採用してきたに過ぎない。他方、顧客に直接対応するコールセンターのオペレーター業務は、非正規社員とはいえ直接採用し、売上規模の伸びに応じて増員を行っている。その離職率は、5パーセント程度と業界の中では低水準である。

今までは2~3名の正社員の中途採用非正規社員からリーダー候補の人の採用か?

オペレーターの教育は中途採用の人がやるのがいい。

ここ2年は大学新卒:企画開発、データベースの活用、将来の幹部候補。

 とはいえ、A社は、売上のほとんどを、骨・関節サポート向けサプリメントが占めており、次世代を担うような新商品が登場しているわけではない。大手メーカーが様々商品展開で市場を開拓する中で、A社も今後岐路に立つことになるかもしれない。

商品開発が生命線。顧客情報を早急に掴んで速やかに商品開発に活かせる体制が急務ということになる。

以上から設問の理解もほぼ合っていることがわかった。

これで解答を作っていく。

第1問(1)(自分)

健康食品の通信販売事業を長期的に継続させるための施策の留意点は、顧客第一主義で既存顧客の再利用率を高める必要がある。そのために、①市場での認知度を高め、ブランド力を高める。②従業員教育を行い、従業員の接客対応力を向上させる。

(先生の解答)

留意すべきことは、管理体制の構築と人材の確保・育成である。理由は、A社は業績が急速に伸長し業務が拡大する一方で競争も厳しくなっている。これに対応するため、人を育成し、しっかりした管理体制が必要となる。

経営理念は与件に記載はないが、おそらく、「中高年の体の悩みをいち早く捉えて期待に応えていく」ということだろう。それで、Oを捉え、Sを伸ばして、Wをカバーしていく。つまり、顧客の悩みを掴みすぐに商品化する体制が必要。現在の弱点は、アウトソーシングと社員が非正規社員のコールセンターからの顧客の悩みなどを直接受けておらず、把握できていないことである。(試験時解答)は①のブランド力を高めるはテーマからずれている。②は正解。顧客の再利用率を高めるとかマーケティングの視点で答えてしまっている。後の問題との関連性を無視した解答と取られただろう。切り口として、「新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと以外」とあったため、既存顧客の再利用率に飛びついたのだった。やはり人事組織の事例ということからも、「新商品の企画」をするための管理体制の構築と「新規顧客を開拓していく」ための人材の確保・育成が妥当だと思う。急拡大において露呈したA社の弱みは、小規模のときはできていた業務の把握ができていないこと、つまり、配送や顧客管理が外部業者任せになっていることである。よって、組織の管理体制と人材の確保・育成が切り口となる。この問題がSWOT分析を踏まえた全体戦略のレベルである。

(結論)留意点は、「Wの克服」である。

(理由)理由は、T「外部環境の脅威」である。

(再度結論)これに対応するため、人を教育し、しっかりした管理体制が必要である。

書きなおして、「留意点は、①顧客のサイコロジカル情報が新商品開発にすぐに活かせるシステムの構築、②その情報を収集活用できるように従業員を育成し、しっかりした管理体制をとる必要がある。」とまとめるのもどうかと考えたがSWOT分析や全体戦略の視点が明確に伝わりにくい解答である。採点者にSWOTと全体戦略を伝える必要がある。

第1問(2)(自分)

正規社員を抑制した体制を維持していくための留意点は、非正規社員や外部経営資源を活用して販売と顧客ニーズの収集と企画に集中することである。そのために、正社員の能力向上、非正規社員士気向上が重要である。

(先生の解答)

留意すべきことは、正社員の能力向上と非正規社員の戦力化である。具体的には、非正規社員は、顧客対応を担うので戦力化を図り、少数の正社員は、A社の将来を担う中核人材として育成を図っていくことが重要である。

 同一問題中の2つめの設問なので当然(1)と関連がある。(1)で示した「人材の確保・育成の部分」で正社員(固定費)は増やしたくないという制約を実現しないといけない。そのためには正社員の能力向上と非正規社員の戦力化が必要なのは、(1)に付け足した但し書きのようなものである。これは先生と同じ切り口で書いている。

第2問(1)(自分)

中高年層の主婦をオペレーターとして採用する理由は、①顧客目線で顧客の身になって受け答えができる、②勤務経験があるため、接客マナー等の教育訓練のコストが削減できる。

第2問(1)(先生解答)

理由は、実務能力があり、主要顧客層と重なっているからである。同じ年代層であれば、親しみやすく、コミュニケーションがはかどり、売上の増加やニーズ収集に効果がある。

ここは戦術レベル。採用について。

切り口は、同じであるが、「情報収集に効果」を入れるべきだった。

第2問(2)(自分)

オペレーターが離職しないための具体的施策は、①オペレーターに商品の企画提案制度を設ける、②CSアンケートを行い、優秀者を表彰する、③役職制度を導入する等を行い、さらに公明正大な評価制度で評価することである。

第2問(2)(先生解答)

具体的施策は、①顧客へのアンケート調査を行い、顧客対応の優れた者を表彰する制度や業務改善の提案を募り、優秀な案を表彰する制度、②本人の意向を確認した上、優秀者には正社員登用する制度を設ける。

ここも戦術レベル。採用した人材のモチベーションを確保する施策である。

具体例を上げればOKって感じで同じである。

第2問の戦術は取れている。第1問の全体戦略の視点が下手くそだと思う。戦術と戦略の切り分けができていないのが原因だと思う。

 

第3問(自分)

大学新卒を採用する理由は、新商品の企画や新規顧客を開拓していく企業スピリッツを維持していくためである。大手等に対抗するためにはニッチな新市場開拓が必要である。

第3問(先生解答)

理由は、今後の成長に必要な新商品の企画や顧客開拓を担う人材として育成するためである。中途でなく新卒採用により長期的な観点で能力向上を図り、他社と差別化する。

切り口は「新商品開発」「顧客開拓」「差別化」でほぼ同じである。が、中途でなく新卒採用である理由がないのが減点である。「将来の幹部候補」とか入れてもよかった。

 

第4問(自分)

新商品開発に結びついていない理由は、①市場調査(市場規模、競合企業、ユーザーニーズ、採算性等)が不十分で、②外部委託先との共同開発体制が十分でないため。

第4問(先生解答)

 

新商品開発に結びついていない理由は、顧客データベースの情報を活用できる人材がいないからである。顧客ニーズから商品開発する能力を育成してこなかったからである。

これは、(自分)はまったくダメである。市場調査とは、この会社の場合、コールセンターでの聞き取りとデータベースへの定性的情報の入力になる。人事組織の視点で不十分になっている理由を書かないといけなかった。この時点で、時間が迫っている焦りで、全体戦略を見失っている。単なる一般論で書いてしまった。「人材育成」の視点を忘れず盛り込みたかった。

以上、自己採点で64点で、結果もA判定だったので自己採点は正しかった。

全体の構成としては、第1問(1)の全体戦略を踏まえて第2、3、4問の戦術がある。第1問の切り口と以降の問題の切り口をつないでからかけるようにするのが今後の課題である。