株と資格試験の関係性はネオ

中小企業診断士受験4年目。深くない知識で株を分析するネオな感じのブログ。

平成25年事例Ⅳ

事例Ⅳは全体を見ず、1問づつ頭から解いていくと決めていた。

これが仇となった。

なんと、第1問だけ見ても、第1問は解けない問題だった。

診断士に求めるものが「森を見て木を見る」であることを再度認識させられた問題だった。過去にこういう事例Ⅳはなかったが、終わってみれば関心する問題であり、自分の姿勢が間違っていました、と診断士協会に謝りたくなる問題でした。

事例Ⅳも事例Ⅰ~Ⅲと同じで全体を掴んで戦略を立てる必要があった。

事例Ⅳなので、経営理念、経営方針、全体戦略があって、それを財務面と会計の計算で戦術を立てていく問題である。わかっていたけど、あえて計算を解くんだと決めてかかり無視したのは落第生だなあと反省。

設問から見ていく。

第1問(25点) D社では、植物工場設立にあたり、開業資金150百万円のうち、100百万円の出資を予定している。内訳は、D社の余剰資金から70百万円、金融機関からの長期借入金30百万円である。

 出資によるD社への影響を評価するために、現在のD社の貸借対照表と、出資直後の予想貸借対照表から財務状況を比較することにした。

 財務状況を表す主要な財務比率を3つあげ、その財務比率の名称を(a)欄に、出資直後の数値(小数点第3位を四捨五入すること)を(b)欄に、出資直後の数値(小数点第3位を四捨五入すること)を(c)欄に示せ。

 また、出資によるD社への影響を(d)欄に80字以内で述べよ。

貸借対照表だけ。

②植物工場設立

ここでSWOT分析、全体戦略を考えるはず。

第2問(45点)

 植物工場は開業資金として、D社から100百万円を受け入れ、工場自身で50百万円を調達する。調達の方法は金融機関から借り入れる(金利年4%、年10百万円を各期末に返済)か、少人数私募債(金利年4%、第5期末に一括返済)が検討されている。返済が完了すると同時に、再び同額を借り入れるものとする。

栽培設備設置などに100百万円の投資が必要であり、これらは開業までに投資、建設され、開業第1期首から設備を稼働させる。設備の耐用年数は5年であり、残存価格をゼロとする減価償却を行う。設備は第5期末で同額の投資により更新が必要である。

 栽培した植物は一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売が行われるものとする。最大生産能力は売上高に換算して約100百万円/年であるが、軌道に乗るまでの第1期、2期は創業度を落とし、売上高それぞれ50百万円、80百万円とし、第3期からは毎年90百万円を予定している。

 費用の構成は、変動費が各期売上高の30%、固定費が毎期18百万円と見積もられている。ただし、支払利息と減価償却費は別途計算する。

(1)D社が新たに手がける植物工場における5年間の減価償却費を、①定額法を用いて償却した場合と、②200%定率法(第4期、第5期については未償却残高を均等償却)を用いて償却した場合について(a)欄に示し(単位:百万円、小数点第2位を四捨五入すること)、それぞれの場合について5年間の営業キャッシュフローの累計額を(b)欄に示せ(単位:百万円、小数点第2位を四捨五入すること)。ただし、自身の資金調達は金融機関からの借り入れとし、取引はすべて現金で行われると仮定する。また、法人税率40%、欠損金の繰延控除は考慮しないものとする。

(2)(1)において、(b)欄の計算結果が一致しなかった理由について40字以内で述べよ。

(3)植物工場自身での資金調達を、金融機関からの借り入れによる場合と少人数私募債による場合とで、第5期末の現金有高を多く残すことができるのは、どちらの調達方法か。調達方法を(a)欄に、金額を(b)欄に示せ(単位:百万円、小数点第2位を四捨五入すること)。また、その理由を(c)欄に30字以内で述べよ。ただし、減価償却は定額法で行い、取引はすべて現金で行われると仮定する。また、法人税率は40%、欠損金の繰延控除は考慮しないものとする。

①植物工場が資金調達の主語、つまり独立会社である(第1問が子会社設立の話である根拠)

減価償却について(会計)

③資金調達方法:借り入れと社債の違い

子会社が資金調達をどうするかを決める戦術について。

第3問(30点)

 植物工場で栽培した植物は一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売されると見込まれているが、前提とされる品質基準に適合しないものが生産されるリスクがある。植物工場において生産計画から納品までのそれぞれのプロセスの中で、考慮すべきリスクに関連するコストを大きい順に4つ、90字以内で述べよ。

①生産計画

②生産

③配送

④納品(後)

それぞれのリスクを並べれば良い。

植物工場運営上の留意点(おまけ?)

この事例は、子会社設立がテーマ。ここを植物工場の事業部を作るテーマと勘違いして進めていくのでまるで整合性が取れず変な事例でまるでわからないと匙を投げたくなる状態が80分続いた事例だった。もちろんこれで落ちたと確信した。

そして与件文。

 D社は創業70年ほどの資本金100百万円、売上高630百万円、従業員数40名の医薬品製剤製造会社である。配置薬の販売を行っていた創業者が考案した内服薬が市場で高い評価を得たことから、同社が設立された。当初は自社製品群が主力であったが、市場が大きく変化し、現在はジェネリック医薬品や栄養ドリンクなど大手医薬品メーカー製品のOEM生産が主体となっている。

売上1575万円/人 少ない。OEMなので利幅もいまいちではないのか。大丈夫かと思う。

 D社は大手医薬品メーカーの要請に積極的に対応し、生産工程の技術管理、衛生管理や納期の徹底を図るなどして、厚い信頼を得てきた。その過程で、生産ラインの見直しと自動化が進んだ結果、工場スペースが有効に活用できるようになり、現在は新工場のみで生産が行われ、旧工場は休眠中である。

旧工場の有効活用が課題。

 経営状態は比較的安定しているものの、近年の大手医薬品メーカーによる品質管理のさらなる徹底および価格低減の要請が粗利益の圧迫要因となり、事業の見通しは決して明るいものではない。このような状況から脱却するために、受け身ではなく「攻め」の経営を志向する必要性を現在の経営者は感じている。その一環として、現在休眠中の旧工場の建屋を活用したアグリビジネス、具体的には新規事業として植物工場の設立を検討している。

粗利益はやはり低い。

アグリビジネス:既存事業と販路もビジネス形態もまるで違うのでは。多角化。

 ここで、植物工場とは、「施設内で植物の育成環境(光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等)を制御して栽培を行う施設園芸を行うことにより、野菜等の植物の周年・計画生産が可能な栽培施設」と定義される(『植物工場の事例集』農林水産省経済産業省)。

野菜を計画的に生産できる。

 D社では、植物工場の形式を太陽光・人工光併用型とし、水耕栽培でハーブ類や薬草を栽培、出荷することを計画している。また、栽培においては水温・水質の管理、温度・湿度の管理、といった工程管理、品質管理が重要となるが、これらの面では、D社が長年培ってきた生産管理上のノウハウを生かすことが期待されている。工場で栽培される植物は十分な需要が存在し、一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売されると見込まれる。

既存のノウハウが生かせる。

需要は十分。

 なお、D社の現在の貸借対照表は次のとおりである。

貸借対照表 (単位:百万円)

資産の部         負債の部

流動資産     570  流動負債      200

 現金及び預金   300    仕入債務    60

 売上債権    160    短期借入金  30

 棚卸資産      90    未払金     50

 その他       20    その他     60

固定資産     385  固定負債    230

 有形固定資産  290    長期借入金  70

  建物・構築物 100    その他    160

  機会及び装置  30  負債合計     430

  車両・工具    10    純資産の部

  土地       145  資本金      100

  その他       5   資本剰余金   50

  無形固定資産  5   利益剰余金   375

  その他固定資産90   純資産合計   525

資産合計      955  負債・純資産合計955 

 B/Sだけなので安全性分析しかできない。なんか自己資本も十分あってぱっと見、いい感じがすると第一印象を持つ。

第1問(自分)

(a)自己資本比率流動比率固定比率

(b)54.97%、285.00%、73.33%

(c)     、250.00%、

(d)出資によるD社への影響は、自己資本が注入されるため資本構造が良化し、現金及び預金の支出のため短期支払い能力は低下、長期支払い能力は資本の取得によりやや低下する。

第1問(先生)

(a)自己資本比率流動比率固定比率

(b)54.97%、285.00%、73.33%

(c)53.30%、250.00%、92.38%

(d)安全性指標はすべて悪化するが、流動比率が100%を大きく超え、固定比率は100%未満で短期・長期支払能力ともに問題はない。自己資本比率も5割を超えており、問題はないと言える。

予想貸借対照表を作るが事業部を作ると信じきっていたので、どうやっても合わない予想貸借対照表にあーでもない、こーでもないとここで30分悩み続け諦める。

今、再度、子会社設立を前提にすると、

□100百万円の出資

その他固定資産 100百万円/現金及び預金 70百万円

            /長期借入金   30百万円

よって、

予想貸借対照表 (単位:百万円)

資産の部         負債の部

流動資産     500  流動負債      200

 現金及び預金    230   仕入債務    60

 売上債権    160    短期借入金  30

 棚卸資産      90    未払金     50

 その他       20    その他     60

固定資産     485  固定負債    260

 有形固定資産  390    長期借入金  100

  建物・構築物 100    その他    160

  機会及び装置  30  負債合計     430

  車両・工具    10    純資産の部

  土地       145  資本金      100

  その他       5   資本剰余金   50

  無形固定資産  5   利益剰余金   375

  その他固定資産 190   純資産合計   525

資産合計      985  負債・純資産合計 985 

とたったこれだけのことだった。

自己資本比率 525/955*100≒54.97

       525/985*100≒53.30(>50:良好)

流動比率   570/200*100=285.00

       500/200*100≒250.00(>100:良好)

固定比率   385/525*100≒73.33

       485/525*100=92.38(<100:良好)

(d)の出資によるD社への影響は苦し紛れに書いたものなのでダメである。

第1問はやはり全体戦略で、子会社設立が本体に影響はないことを分析した内容であった。

第2問(1)(自分)

(a)①20、20、20、20、20、②40

(b)①150.4百万円、②

第2問(2)(自分)

理由は、減価償却費を利益の少ない初期に多く計上する200%定率法の方が小さくなるから。

第2問(3)(自分)

(a)金融機関からの借り入れによる場合(b)50.4百万円(c)理由は、借入金の節税効果があり、その分利益が残るためである。

第2問(1)(先生)

(a)①20、20、20、20、20、②40、24、14.4、10.8、10.8

(b)①148.4百万円、②140.4百万円

第2問(1)(先生)

各期の減価償却費が異なるため、赤字の発生により節税効果が異なるから。

第2問(1)(先生)

(a)金融機関からの借り入れによる場合(b)148.4百万円(c)金融機関からの借入は分割返済するため、支払利息が減少するから。

植物工場の事業計画における設備投資についての戦術の問題。

 (1)

(a)①定額法・・100÷5=20

    ②200%定率法・・定額法なら20%なので、その2倍の40%で償却

   最後の2年は残を半分づつ償却

   40、残60☓40%=24、残36☓40%14.4、21.6/2=10.8、10.8

(b)①定額法の場合の5年間の営業CF・・

   第1期 (50-0.3*50-18-50*0.04-20)+20=15

   第2期 (80-0.3*80-18-40*0.04-20)*0.6+20=29.84

   第3期 (90-0.3*90-18-30*0.04-20)*0.6+20=34.28

   第4期 (90-0.3*90-18-20*0.04-20)*0.6+20=34.52

   第5期 (90-0.3*90-18-10*0.04-20)*0.6+20=34.76

   合計 148.4

   ②200%定率法の場合の5年間の営業CF・・

   第1期 (50-0.3*50-18-50*0.04-40)+40=15

   第2期 (80-0.3*80-18-40*0.04-24)*0.6+24=31.44

   第3期 (90-0.3*90-18-30*0.04-14.4)*0.6+14.4=32.04

   第4期 (90-0.3*90-18-20*0.04-10.8)*0.6+10.8=30.84

   第5期 (90-0.3*90-18-10*0.04-10.8)*0.6+10.8=31.08

   合計 140.4

(2)①の節税効果 80☓0.4=32

   ②の節税効果 60☓0.4=24 ※その差8

(3)(a)長期借入金50を分割返済か一括返済かどっちが得かという話。

     早く払ったほうが利息分得ということ。

            (b)分割返済の場合の現金

   現金=営業CF+投資CF-財務CF

   営業CF:148.4

   投資CF:100

   財務CF:150-50=100

   よって、148.4

  一括返済の場合は営業CFが支払い利息がずっと50*0.04であり、分割返済の場合との差の分だけ少ない。

  第1期-(2-2)*0.6=0

  第2期-(2-1.6)*0.6=-0.24

  第3期-(2-1.2)*0.6=-0.48

  第4期-(2-0.8)*0.6=-0.72

  第5期-(2-0.4)*0.6=-0.96

合計-2.4

よって、148.4-2.4=146

第3問(自分)

プロセスの中で考慮すべきリスクに関するコストは、大きい順に、①工程管理、品質管理上のミスによるコスト、②植物の種子の品質不良によるコスト、③運送上のキズなどのコスト、④環境(水など)不良のリスクである。

第3問(先生)

考慮すべきリスクは、①品質基準に達しない商品の破棄コスト、②納品後に品質基準に満たないことが発覚することへの顧客対応コスト、③品質検査にかかるコスト、④値引きコストである。

ここは、外部失敗コスト>内部失敗コスト>評価コスト>予防コストという知識が必要だったようだ。返品値引きなど>仕損費など>検査コストなど>教育訓練QCサークルの費用など。

A=外部失敗コスト+内部失敗コスト B=評価コスト+予防コスト

 

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自分の解答は、内部コストしか書いていない。よって、8点/30点。

試験終了直後の自己採点41点に対し、評価B。全員できなくて10点ほど下駄を履かせたのだろう。

総合得点は自己採点211点でB評価。結果もB評価。納得して再受験に望む。足りない29点を一年かけて補えば受かる。全体戦略と切り口を持ってすべて答えるという冷静さがあればいけると思った。森を見て木を見る。中小企業診断士の試験は毒の木に一生懸命水をやっていても森は汚染されていくだけということを人に教えられるようになることが目的の試験なのだと実感する。