株と資格試験の関係性はネオ

中小企業診断士受験4年目。深くない知識で株を分析するネオな感じのブログ。

マーケティングマンガ『銀のアンカー』を読んで

大学生の就職活動について描いたマンガ。

自分をマーケティングしようというお話で履歴書や面接でのスタンスはこうだよと

学生に教えるマンガになっている。でも、マーケティング戦略策定のいろんなパーツが適当に出てくるので体系だった理解には向かないが、面白いマンガだった。さすが『ドラゴン桜』の作者である。

全8巻を一言で言うと、就職を勝ち取るには『ドメインを明確にして4Pを投入せよ。』ということだった。

ドメイン

だれに:ミッションとビジョンに共感できる企業に

何を:就活生が

どのように:企業のSWOTで求められるニーズに応えられる能力で

(4P)

製品:資格、経験など

価格:生涯価値が支給給与より高い可能性(NPV、健康など)

チャネル:面接、エントリーシート、履歴書、OB訪問

プロモーション:S→OまたはWの克服をさりげなくアピール

4Pで企業に自分が必要なことをうまく伝えよということである。しかし、大事なのは最初のドメインでその企業が何を求めているかである。マンガでも面接も試験も大変良かったのに落ちた女子大生が出てくる。のちにその会社(テレビ局)の関係者から話を聞くと、同じタイプの子がすでにいるから他のタイプの子を取ったと聞かされる。この企業のWではなかったのである。

※ミッション:企業(経営者)の過去の経験から生まれた使命

 ビジョン:ミッションを実現するための将来の目標

 スローガン:ビジョンをわかりやすくした言葉

 

 

H14(2002)事例Ⅳ(卸の勧めで自動発注も在庫過多で利益率悪化の駅前大型本屋)と類似

日経

医薬品を自動発注 調剤薬局「欠品ゼロ」に 
卸大手のメディパル システム販売

 

薬の販売と在庫の情報から需要予測し、自動発注するシステムを販売。

「販売と在庫の情報から」というのが味噌。

欠品はなくせても、在庫が増え、それに伴い運転資本が増加することで

キャッシュ・フローが減る。自動なのでジェネリック医薬品の販売促進など

店のプロモーション戦略は加味されない。

薬を店に販売する卸にはいいが、店にとって果たしてどうなのだろうか。

※H15事例Ⅱ(売上の4割を突然失うせんべい製造、及び販売業)に類似

【日経】クオール調剤薬局が調剤などの宅配事業を強化

調剤薬局は去年までは大病院の門前薬局として好収益を享受できた。多店舗展開により問屋から安く薬を仕入れ、販売は定価が守られるというビジネスモデル。それが、突然、調剤基本料が大幅に引き下げられた。この環境変化への対応として、調剤などを宅配するサービスを本格的に始める。医療保険適用で1回の宅配料6500円に対し患者の負担は2000円以下になる。一人暮らしの高齢者が増えており、国も医療費抑制のため高齢者の療養の場を病院から自宅に移す方針である。課題は、患者の家を巡回する薬剤師の確保である。

 

 

※H21事例Ⅰ(M&Aにより弱みだった技術力を獲得した洋菓子店の事例)類似

日経新聞サントリーHDがジムビーンをM&Aした狙い~

弱みだった海外販路をM&Aにより獲得した。サントリーHDの世界的にも評価の高い『響』などのブランドを投入していく。技術力、ブランド力がありながら、チャネルが弱く世界シェア5%にとどまっていたウィスキー事業の拡大を目指す。

~弱みを克服して事業拡大を目指す事例。

座右の銘・・・が不味かった。

今までの座右の銘は「石の上にも3年」だったが、3年たっても診断士には受からなかった。それに石の上に座ってるってまさに近視眼!これでは診断士に受からない。

これからは石から降りて全体を歩いた上で物事を決めていくことを標榜することにしたい。座右の銘は「森を見て木を見る」に変更である。

巷でいう「木を見て森を見ず」だと、「木を見ている人は失敗する、木を見ている人は森を見ていない、だから、失敗する人は森を見ていない」と説明する背理法みたいで理解しがたい。なのでそんな漢文みたいなことはしないで、単純に「森を見て木を見る」を座右の銘にする。

平成25年事例Ⅳ

事例Ⅳは全体を見ず、1問づつ頭から解いていくと決めていた。

これが仇となった。

なんと、第1問だけ見ても、第1問は解けない問題だった。

診断士に求めるものが「森を見て木を見る」であることを再度認識させられた問題だった。過去にこういう事例Ⅳはなかったが、終わってみれば関心する問題であり、自分の姿勢が間違っていました、と診断士協会に謝りたくなる問題でした。

事例Ⅳも事例Ⅰ~Ⅲと同じで全体を掴んで戦略を立てる必要があった。

事例Ⅳなので、経営理念、経営方針、全体戦略があって、それを財務面と会計の計算で戦術を立てていく問題である。わかっていたけど、あえて計算を解くんだと決めてかかり無視したのは落第生だなあと反省。

設問から見ていく。

第1問(25点) D社では、植物工場設立にあたり、開業資金150百万円のうち、100百万円の出資を予定している。内訳は、D社の余剰資金から70百万円、金融機関からの長期借入金30百万円である。

 出資によるD社への影響を評価するために、現在のD社の貸借対照表と、出資直後の予想貸借対照表から財務状況を比較することにした。

 財務状況を表す主要な財務比率を3つあげ、その財務比率の名称を(a)欄に、出資直後の数値(小数点第3位を四捨五入すること)を(b)欄に、出資直後の数値(小数点第3位を四捨五入すること)を(c)欄に示せ。

 また、出資によるD社への影響を(d)欄に80字以内で述べよ。

貸借対照表だけ。

②植物工場設立

ここでSWOT分析、全体戦略を考えるはず。

第2問(45点)

 植物工場は開業資金として、D社から100百万円を受け入れ、工場自身で50百万円を調達する。調達の方法は金融機関から借り入れる(金利年4%、年10百万円を各期末に返済)か、少人数私募債(金利年4%、第5期末に一括返済)が検討されている。返済が完了すると同時に、再び同額を借り入れるものとする。

栽培設備設置などに100百万円の投資が必要であり、これらは開業までに投資、建設され、開業第1期首から設備を稼働させる。設備の耐用年数は5年であり、残存価格をゼロとする減価償却を行う。設備は第5期末で同額の投資により更新が必要である。

 栽培した植物は一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売が行われるものとする。最大生産能力は売上高に換算して約100百万円/年であるが、軌道に乗るまでの第1期、2期は創業度を落とし、売上高それぞれ50百万円、80百万円とし、第3期からは毎年90百万円を予定している。

 費用の構成は、変動費が各期売上高の30%、固定費が毎期18百万円と見積もられている。ただし、支払利息と減価償却費は別途計算する。

(1)D社が新たに手がける植物工場における5年間の減価償却費を、①定額法を用いて償却した場合と、②200%定率法(第4期、第5期については未償却残高を均等償却)を用いて償却した場合について(a)欄に示し(単位:百万円、小数点第2位を四捨五入すること)、それぞれの場合について5年間の営業キャッシュフローの累計額を(b)欄に示せ(単位:百万円、小数点第2位を四捨五入すること)。ただし、自身の資金調達は金融機関からの借り入れとし、取引はすべて現金で行われると仮定する。また、法人税率40%、欠損金の繰延控除は考慮しないものとする。

(2)(1)において、(b)欄の計算結果が一致しなかった理由について40字以内で述べよ。

(3)植物工場自身での資金調達を、金融機関からの借り入れによる場合と少人数私募債による場合とで、第5期末の現金有高を多く残すことができるのは、どちらの調達方法か。調達方法を(a)欄に、金額を(b)欄に示せ(単位:百万円、小数点第2位を四捨五入すること)。また、その理由を(c)欄に30字以内で述べよ。ただし、減価償却は定額法で行い、取引はすべて現金で行われると仮定する。また、法人税率は40%、欠損金の繰延控除は考慮しないものとする。

①植物工場が資金調達の主語、つまり独立会社である(第1問が子会社設立の話である根拠)

減価償却について(会計)

③資金調達方法:借り入れと社債の違い

子会社が資金調達をどうするかを決める戦術について。

第3問(30点)

 植物工場で栽培した植物は一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売されると見込まれているが、前提とされる品質基準に適合しないものが生産されるリスクがある。植物工場において生産計画から納品までのそれぞれのプロセスの中で、考慮すべきリスクに関連するコストを大きい順に4つ、90字以内で述べよ。

①生産計画

②生産

③配送

④納品(後)

それぞれのリスクを並べれば良い。

植物工場運営上の留意点(おまけ?)

この事例は、子会社設立がテーマ。ここを植物工場の事業部を作るテーマと勘違いして進めていくのでまるで整合性が取れず変な事例でまるでわからないと匙を投げたくなる状態が80分続いた事例だった。もちろんこれで落ちたと確信した。

そして与件文。

 D社は創業70年ほどの資本金100百万円、売上高630百万円、従業員数40名の医薬品製剤製造会社である。配置薬の販売を行っていた創業者が考案した内服薬が市場で高い評価を得たことから、同社が設立された。当初は自社製品群が主力であったが、市場が大きく変化し、現在はジェネリック医薬品や栄養ドリンクなど大手医薬品メーカー製品のOEM生産が主体となっている。

売上1575万円/人 少ない。OEMなので利幅もいまいちではないのか。大丈夫かと思う。

 D社は大手医薬品メーカーの要請に積極的に対応し、生産工程の技術管理、衛生管理や納期の徹底を図るなどして、厚い信頼を得てきた。その過程で、生産ラインの見直しと自動化が進んだ結果、工場スペースが有効に活用できるようになり、現在は新工場のみで生産が行われ、旧工場は休眠中である。

旧工場の有効活用が課題。

 経営状態は比較的安定しているものの、近年の大手医薬品メーカーによる品質管理のさらなる徹底および価格低減の要請が粗利益の圧迫要因となり、事業の見通しは決して明るいものではない。このような状況から脱却するために、受け身ではなく「攻め」の経営を志向する必要性を現在の経営者は感じている。その一環として、現在休眠中の旧工場の建屋を活用したアグリビジネス、具体的には新規事業として植物工場の設立を検討している。

粗利益はやはり低い。

アグリビジネス:既存事業と販路もビジネス形態もまるで違うのでは。多角化。

 ここで、植物工場とは、「施設内で植物の育成環境(光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等)を制御して栽培を行う施設園芸を行うことにより、野菜等の植物の周年・計画生産が可能な栽培施設」と定義される(『植物工場の事例集』農林水産省経済産業省)。

野菜を計画的に生産できる。

 D社では、植物工場の形式を太陽光・人工光併用型とし、水耕栽培でハーブ類や薬草を栽培、出荷することを計画している。また、栽培においては水温・水質の管理、温度・湿度の管理、といった工程管理、品質管理が重要となるが、これらの面では、D社が長年培ってきた生産管理上のノウハウを生かすことが期待されている。工場で栽培される植物は十分な需要が存在し、一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売されると見込まれる。

既存のノウハウが生かせる。

需要は十分。

 なお、D社の現在の貸借対照表は次のとおりである。

貸借対照表 (単位:百万円)

資産の部         負債の部

流動資産     570  流動負債      200

 現金及び預金   300    仕入債務    60

 売上債権    160    短期借入金  30

 棚卸資産      90    未払金     50

 その他       20    その他     60

固定資産     385  固定負債    230

 有形固定資産  290    長期借入金  70

  建物・構築物 100    その他    160

  機会及び装置  30  負債合計     430

  車両・工具    10    純資産の部

  土地       145  資本金      100

  その他       5   資本剰余金   50

  無形固定資産  5   利益剰余金   375

  その他固定資産90   純資産合計   525

資産合計      955  負債・純資産合計955 

 B/Sだけなので安全性分析しかできない。なんか自己資本も十分あってぱっと見、いい感じがすると第一印象を持つ。

第1問(自分)

(a)自己資本比率流動比率固定比率

(b)54.97%、285.00%、73.33%

(c)     、250.00%、

(d)出資によるD社への影響は、自己資本が注入されるため資本構造が良化し、現金及び預金の支出のため短期支払い能力は低下、長期支払い能力は資本の取得によりやや低下する。

第1問(先生)

(a)自己資本比率流動比率固定比率

(b)54.97%、285.00%、73.33%

(c)53.30%、250.00%、92.38%

(d)安全性指標はすべて悪化するが、流動比率が100%を大きく超え、固定比率は100%未満で短期・長期支払能力ともに問題はない。自己資本比率も5割を超えており、問題はないと言える。

予想貸借対照表を作るが事業部を作ると信じきっていたので、どうやっても合わない予想貸借対照表にあーでもない、こーでもないとここで30分悩み続け諦める。

今、再度、子会社設立を前提にすると、

□100百万円の出資

その他固定資産 100百万円/現金及び預金 70百万円

            /長期借入金   30百万円

よって、

予想貸借対照表 (単位:百万円)

資産の部         負債の部

流動資産     500  流動負債      200

 現金及び預金    230   仕入債務    60

 売上債権    160    短期借入金  30

 棚卸資産      90    未払金     50

 その他       20    その他     60

固定資産     485  固定負債    260

 有形固定資産  390    長期借入金  100

  建物・構築物 100    その他    160

  機会及び装置  30  負債合計     430

  車両・工具    10    純資産の部

  土地       145  資本金      100

  その他       5   資本剰余金   50

  無形固定資産  5   利益剰余金   375

  その他固定資産 190   純資産合計   525

資産合計      985  負債・純資産合計 985 

とたったこれだけのことだった。

自己資本比率 525/955*100≒54.97

       525/985*100≒53.30(>50:良好)

流動比率   570/200*100=285.00

       500/200*100≒250.00(>100:良好)

固定比率   385/525*100≒73.33

       485/525*100=92.38(<100:良好)

(d)の出資によるD社への影響は苦し紛れに書いたものなのでダメである。

第1問はやはり全体戦略で、子会社設立が本体に影響はないことを分析した内容であった。

第2問(1)(自分)

(a)①20、20、20、20、20、②40

(b)①150.4百万円、②

第2問(2)(自分)

理由は、減価償却費を利益の少ない初期に多く計上する200%定率法の方が小さくなるから。

第2問(3)(自分)

(a)金融機関からの借り入れによる場合(b)50.4百万円(c)理由は、借入金の節税効果があり、その分利益が残るためである。

第2問(1)(先生)

(a)①20、20、20、20、20、②40、24、14.4、10.8、10.8

(b)①148.4百万円、②140.4百万円

第2問(1)(先生)

各期の減価償却費が異なるため、赤字の発生により節税効果が異なるから。

第2問(1)(先生)

(a)金融機関からの借り入れによる場合(b)148.4百万円(c)金融機関からの借入は分割返済するため、支払利息が減少するから。

植物工場の事業計画における設備投資についての戦術の問題。

 (1)

(a)①定額法・・100÷5=20

    ②200%定率法・・定額法なら20%なので、その2倍の40%で償却

   最後の2年は残を半分づつ償却

   40、残60☓40%=24、残36☓40%14.4、21.6/2=10.8、10.8

(b)①定額法の場合の5年間の営業CF・・

   第1期 (50-0.3*50-18-50*0.04-20)+20=15

   第2期 (80-0.3*80-18-40*0.04-20)*0.6+20=29.84

   第3期 (90-0.3*90-18-30*0.04-20)*0.6+20=34.28

   第4期 (90-0.3*90-18-20*0.04-20)*0.6+20=34.52

   第5期 (90-0.3*90-18-10*0.04-20)*0.6+20=34.76

   合計 148.4

   ②200%定率法の場合の5年間の営業CF・・

   第1期 (50-0.3*50-18-50*0.04-40)+40=15

   第2期 (80-0.3*80-18-40*0.04-24)*0.6+24=31.44

   第3期 (90-0.3*90-18-30*0.04-14.4)*0.6+14.4=32.04

   第4期 (90-0.3*90-18-20*0.04-10.8)*0.6+10.8=30.84

   第5期 (90-0.3*90-18-10*0.04-10.8)*0.6+10.8=31.08

   合計 140.4

(2)①の節税効果 80☓0.4=32

   ②の節税効果 60☓0.4=24 ※その差8

(3)(a)長期借入金50を分割返済か一括返済かどっちが得かという話。

     早く払ったほうが利息分得ということ。

            (b)分割返済の場合の現金

   現金=営業CF+投資CF-財務CF

   営業CF:148.4

   投資CF:100

   財務CF:150-50=100

   よって、148.4

  一括返済の場合は営業CFが支払い利息がずっと50*0.04であり、分割返済の場合との差の分だけ少ない。

  第1期-(2-2)*0.6=0

  第2期-(2-1.6)*0.6=-0.24

  第3期-(2-1.2)*0.6=-0.48

  第4期-(2-0.8)*0.6=-0.72

  第5期-(2-0.4)*0.6=-0.96

合計-2.4

よって、148.4-2.4=146

第3問(自分)

プロセスの中で考慮すべきリスクに関するコストは、大きい順に、①工程管理、品質管理上のミスによるコスト、②植物の種子の品質不良によるコスト、③運送上のキズなどのコスト、④環境(水など)不良のリスクである。

第3問(先生)

考慮すべきリスクは、①品質基準に達しない商品の破棄コスト、②納品後に品質基準に満たないことが発覚することへの顧客対応コスト、③品質検査にかかるコスト、④値引きコストである。

ここは、外部失敗コスト>内部失敗コスト>評価コスト>予防コストという知識が必要だったようだ。返品値引きなど>仕損費など>検査コストなど>教育訓練QCサークルの費用など。

A=外部失敗コスト+内部失敗コスト B=評価コスト+予防コスト

 

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自分の解答は、内部コストしか書いていない。よって、8点/30点。

試験終了直後の自己採点41点に対し、評価B。全員できなくて10点ほど下駄を履かせたのだろう。

総合得点は自己採点211点でB評価。結果もB評価。納得して再受験に望む。足りない29点を一年かけて補えば受かる。全体戦略と切り口を持ってすべて答えるという冷静さがあればいけると思った。森を見て木を見る。中小企業診断士の試験は毒の木に一生懸命水をやっていても森は汚染されていくだけということを人に教えられるようになることが目的の試験なのだと実感する。 

平成25年事例Ⅲ

事例Ⅲなので、QCD+4Mを意識して、欠けているところを埋めてやればよい。しかし、まずはSWOT分析と理念、方針を踏まえた全体戦略を明確にすることだなとか思いながら設問から読む。

第1問(40点) C社では、横ばいで推移している業績を改善するためX社のシェアが高い首都圏市場への参入を目指している。この課題について、以下の設問に答えよ。

 (1)C社が主著権市場への参入で活用すべき競争優位性は何か、60字以内で述べよ。

 (2)C社が首都圏市場への参入を実現するためには、関東工場の役割をどのように変えるべきなのか、またそれを実現するためにはどのような具体的対応策が必要となるのか、120字以内で述べよ。

同製品、新市場進出戦略。(1)X社に対抗できるS(強み)。(2)関東工場の役割。

第2問(30点) C社では、顧客からの問い合わせに迅速に対応するため、また、短納期化に対応するため、技術部ないの情報の共有かや業務の効率化を図る計画がある。この計画について、以下の設問に答えよ。

 (1)技術部内で共有かが必要と考える具体的情報を80字以内であげよ。

 (2)技術部内の業務効率化を図るために必要な具体的改善内容を120字以内で述べよ。

目的

①問い合わせに迅速に答える

②D(納期)を短縮化する

(1)具体的共有情報、(2)業務効率化のための改善策、改善策なので現状と対比して書いた方がわかりやすい。

第3問(30点) C社経営者は、これまで蓄積した生産技術のノウハウを活用し、通信用部材市場以外での新規事業開発を模索している。過去に経験したY社との共同開発事業の失敗の原因と、その失敗の要因を踏まえた今後の新規事業開発の留意点を、140字以内で述べよ。

新規事業開発・・体内体制と体外体制の整備が必要。

過去の失敗とは・・

【C社の概要】

 C社は、関西地方に本社を置き、地元関西や中部地方などを主な販売エリアとして、通信事業者などの通信施設で使用される配線用ケーブル支持器具、通信機器設置台など金属製の通信施設用部材(以下、「通信用部材」という。)を生産、据付する企業である。資本金は3,600万円、従業員数は95名、最近の年間売上高は約25億円前後で推移している。会社組織には受注、設計および据付業務を担当する技術部、関西本社工場および関東工場での製造・物流を担当する製造部、新製品開発を担当する開発部、経理および総務業務を担当する総務部がある。なお、技術部は本社のほか、中部支店と東京支店に配置されている。

関西本社:①技術部(受注、設計、据え付け業務)②関西工場製造部(製造、物流)、③開発部(新製品開発)、④総務部

中部支店:①技術部(受注、設計、据え付け業務)

東京支店:①技術部(受注、設計、据え付け業務)②関西工場製造部(製造、物流)

新製品開発は関西でやっている。

 通信事業者が通信施設の新設や改修などの工事を行う場合、通信事業者側が企画し、通信建設会社が施工を請け負う。C社はこの通信建設会社から受注する。

通信事業者→通信建設会社→C社

 C社は、創業以来、通信建設会社の指導を受け、通信用部材事業における品質を確保するために製品の標準化や据付け施工面での保安対策技術の習得に務めた。また、製品開発力を武器に営業活動を展開し、業績の拡大とともに中部支店を開設した。さらにそれまで付き合いのあった通信建設会社の勧めで、新たな通信事業者の開拓を目指し東京支店を開設している。

S(強み):品質の確保、製品の標準化、据え付け施工の保安対策技術、

製品開発力、営業力

【市場の概要】

 通信事業者が必要とする通信用部材の市場規模は小さい。この市場でC社は、同業者約10社と競合状態にあり、第2位のシェアを確保している。市場シェア第1位企業X社の販売エリアは首都圏中心である。X社と比較して、新製品開発力・提案力、製品・施工品質についてはC社の評価は高いが、納期や価格面での評価は低い。

競合X社:首都圏中心(納期、価格面で優れている)

C社のS:新製品開発力・提案力、製品・施工品質

 通信機器は、技術革新によって高速化やダウンサイジング化が進み、通信施設も省スペース化が進む通信機器に対応した新製品の提案が求められ、さらに、低価格化や工事期間の短縮などの要求が厳しい。C社では、開発部を中心にダウンサイジング化が進む通信機器に対応した通信用部材の開発を行い、通信事業者や通信建設会社へ提案し、新規取引先を獲得する営業展開を進めてきており、今後も強化する方針である。

提案力、低価格化、工事期間の短縮が求められる。

C社は提案力で新規顧客開拓に成功している。

【C社の生産概要】

 C社が受注する通信用部材は、施工図面で指示されるが、2種類の部材の組み合わせで構成される。1つは通信事業者ごとに寸法、形状が規格化されている標準仕様部材、もう1つは通信施設の大きさ、建物への設置条件、使用する通信機器などにあわせて製造する補助部材である。

製品

①標準仕様部材

②補助部材:特殊品

 営業活動は、経営者の通信建設会社へのトップセールスによる受注情報の収集が基本である。受注後は、対象通信施設の現地調査、設計、製造、そして現場据付け施工まで行う。

営業活動:トップセールス(企業の社長自ら自社製品の特長や優秀性を宣伝し、積極的にセールスを行うこと。)・・提案営業をしているのは、社長だけ?

 受注、現地調査、設計は技術部内で受注物件ごとに専任された設計担当者が担当し、通信施設での調整事項や設計変更などの内容は担当している設計担当者しか分からない。設計業務にはCADが使われているが、部品のような設計要素のライブラリー化などは行われていない。また、技術部としてCADの使用方法についての標準化やデータの共有かは図られておらず、設計担当者各自がそれぞれ独自に使用している。このような設計担当者の業務状況のため、受注から据付施工官僚までの全期間に占める設計担当業務には大きな時間が割かれている。

受注後

受注、現地調査、設計:担当者しかわからない。→問い合わせ対応が遅れる。

CAD:部品化など設計要素のライブラリー化ができていない→設計要素の再利用ができず効率が悪い。

 各部材製造については、関西本社工場では多品種少量の受注生産の補助部材を担当し、関東工場では在庫対応が可能でロットサイズを大きくできる標準仕様部材を担当している。関西本社工場は汎用加工機を用いた多品種少量生産に適しているが、関東工場は後述する経緯があってOAフロア工場として建設されたことから専用機による量産体制であるため、このような両工場の分担となっている。

関西本社工場:補助部材(多品種少量)→①在庫対応ができない。

関東工場:標準仕様部材→①専用機で生産、②在庫対応ができる。

 部材の物流については、関西本社工場に物流センターがあり製造部が担当している。関東工場で製造された製品は、関西本社工場にある物流センターに運ばれそこで在庫となり、両工場で製造されたものを物件ごとに組み合わせて出荷する。

関西本社工場:物流センター(製造部)

関東工場→関西物流センター→関東の顧客へ(納期が遅い)課題

【通信用部材以外の新製品開発】

 C社では、通信用部材以外の新製品開発にも積極的に取り組んできた。開発部では取引先、仕入先など関連企業からの依頼や情報提供に応じて、また社内からの提案に応じて新製品企画・開発を行っている。

開発部(関西):取引先、仕入先、社内→新製品開発(ここに問題?)

 その取り組みとして、過去に大手建材メーカーY社からの提案で、Y社の建材メーカーとしてのノウハウとC社の通信用部材のノウハウを活用し、新製品として施工性がよく多機能なオフィス用OAフロアを事業化した経験がある。OAフロアとは、コンピュータなどの多くの配線を床下配線可能な状態にするために床を二重化するものである。全国に販売拠点を持ち多くの建設会社と取引関係にあるY社は、ビル工事を施工する建設会社からOAフロアの引き合いがあった場合、他メーカーから商品を仕入れて受注していたが、当時引き合いが多くなったことから自社ブランド製品化を進めるためにC社への共同開発の提案を行ったものである。

Y社:OAフロアを販売

C社はY社と共同開発、OEM提供(C社は提案営業力が活かせない)

 北関東にOAフロア量産の関東工場をC社が建設して製造し、Y社の物流センターへ納品する契約をした。Y社では物流センターに在庫し即納体制を整え、全国にある販売網を利用して建設会社に営業展開した。しかし、ビル完成後にIT機器等を納品する事務機メーカーのシンプルな機能で軽量化された低価格製品と競合し、Y社の販売数量が低迷したため、C社はこの事業から撤退した。

Y社:物流センターに在庫、即納体制、全国への販売網へ営業展開

価格競争に負け、撤退。(過去の失敗)

 その他C社開発部では、通信用部材以外の新製品開発を多く手掛けてきたが、現在まで大きな成功例はなく推移している。

設問(1)(自分)

活用すべき競争優位性は、①通信用部材の現地調査から施工までの一括受注ができる、②新製品の開発力・提案力がある。

設問(1)(先生)

用すべき競争優位性は、①ダウンサイジングに対応した機器の開発力とその提案力がある、②製品、施工品質が高く、評価も高い。

 

品質という言葉を入れると完璧だったが、提案力がキーワードでありこれが入っていれば良い。この事例のテーマは「関東攻略~営業体制と短納期体制を実現せよ~」である。失敗ばかりするのは、全国展開にもかかわらず、営業部もなく、営業は社長だけがやっていることで、新製品が良くても顧客に伝える仕組みがないことである。提案力が強みなのに営業部がないのがそもそも変である。

 

設問(2)(自分)

関東工場の役割は、現在の専用機による標準仕様部材を生産し関西に配送する役割から、補助部材を関西から輸送して組み立てる役割とそれを在庫し即納できる物流センターの役割を担う体制へと変化させる必要がある。

 

設問(2)(先生)

 関東工場の役割は、関東県での受注に対して短納期体制を構築すること。具体的対応は、①汎用設備を導入し、多品種少量生産を可能とし、標準品の生産と合わせて両者を供給する。②在庫機能を持たせ、関東圏の物流センターとしての役割を担えるようにすること。

 短納期体制の構築。よって、汎用設備の導入、多品種少量生産、組み立て、在庫、物流センターの組み合わせが必要。関東進出戦略に投資は必要。(自分)の解答は、補助部材は在庫できない。受注ごとに異なる製品なので関西からの輸送に時間がかかり、さらに在庫していては他社に後手を踏むことになる。これはだめだ。

第3問(自分)

Y社との共同開発事業の失敗要因は、市場調査が不十分だったことである。よって今後の新規事業開発での留意点は、市場調査(市場規模・成長性・ユーザーニーズ・競合他社など)を十分に踏まえた上で事業計画を立てる。また、取引先を拡大してリスクを分散すること、内部体制を柔軟な体制にしておくことなどが必要である。

第3問(先生)

共同開発事業の失敗要因は、Y社が販売を担当したため、C社の強みである開発力や提案力が発揮できず、C社のブランド化もできなかったため、軽量化された低価格品と競合したからである。従って新規事業開発の留意点は、自社の強みである開発力と提案力が発揮できる営業体制を構築することである。

取引先や仕入先、社内まで情報収集しており、ニーズは十分に踏まえられていると考えられる。また、取引先の拡大が新製品の開発・販売に結びついていない問題点と論点がずれている。焦りで事例を無視した知識だけで解答した悪い例のような解答をしてしまった。大外しである。第1問の強みもへったくれもない解答をしている。

提案営業を自社で行う体制、つまり、関西、中部、関東に営業部を設置し、社長のような営業マンを置かなければいけない。提案営業が強みでありながら、営業マンが社長だけというなぞはここで解決すればよかったのである。

以上、試験受験後すぐの自己採点50点に対し、C判定。納得!冷静になれば十分解けるが、焦りと事例Ⅰ、事例Ⅱをひきずって興奮状態であったことが敗因。まこと残念である。